20.いざという時のために

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20 . いざという時のために

災害が発生したとき、避難方法が確立されているかどうかは、大きく明暗を分けます。避難時の判断が人によって違っていれば、別々の場所に勝手なタイミングで移動し、混乱を招きます。しかし、避難経路や避難場所が指定されている地域で、住民にそれが周知されていれば、迅速な避難活動が行え、被害を最小限に抑えることができます。
そのためには、防災器材格納庫の設置場所や防災器材の取扱方法などを、あらかじめ地域全体で把握しておくことが大切です。積極的に総合防災訓練などに参加し、防災器材の取扱方法など万一の場合に備えておきましょう。

災害時における確認事項

1避難時期

  • 自分で危険と判断したとき。
  • 行政機関の職員や消防職員、消防団員、警察官から避難の指示があったとき。
  • 自主防災組織の役員などから避難の呼び掛けがあったとき。

2避難場所

  • 家族全員で、避難経路と避難場所を確認しておく。
  • 町内で決められている一時避難場所(集合場所)を確認しておく。

3避難要領

  • 避難経路はいくつか選定しておき、風向き、火災の発生状況、道路の障害などの情報をもとに、そのうちから最も安全な避難経路を選択する。
  • 地域内の病人、お年寄り、体の不自由な人を確認しておき、担架搬送などで安全に避難できるようにする。
  • 自動車での避難は避ける。
  • 服装は、身軽で動きやすいものとし、ヘルメット、帽子などで頭を保護し、靴は底のしっかりした運動靴を履くようにする。
  • 携行品は、数日分の飲料水や食料品、当面の生活用品、救急医薬品、ラジオ、携行ライトなど、必要な物を入れた非常持出袋だけとし、身軽に動けるようにする。

行政の取り組み

行政では、全自主防災会に防災器材格納庫を設置し、その中に防災器材を配備しています。防災器材には、各自主防災会に一律に配備したジャッキ、バール、担架などの器材に加えて、自主防災会が地域実情などを考慮して選んだ器材(ボルトクリッパー、つるはし、組立式水槽など)があります。また、地域の実情に応じて、独自に器材の配備を行っている自主防災会・自主防災部もあります。

災害時に収集しなければならない情報

  • 地域内の道路、崖、橋などの状況
  • 火災発生場所と火災の大きさ、延焼方向
  • 地域内の活動状況と応援の必要の有無
  • 地域内住民の避難人員の把握
  • 避難場所や避難路の状況把握
  • 地域に隣接する自主防災組織の活動状況の把握
  • ラジオ、テレビ、防災関係機関からの情報収集

防災マップを確認する

被害の発生および拡大を防止するためには、前述の防災知識の普及を図るとともに、自分たちの住んでいる地域が、災害に対してどのような弱点があるのか、具体的に把握しておくことも重要です。そのためには、自分たちの町を実際に調べて、地震・風水害・大規模火災などの発生を想定し、被災したらどのような状況になるかを予測しておく必要があります。災害による被害や地域の特性を把握できたら、危険箇所などの弱点とともに、防災施設や防災資源などの項目をまとめた「防災マップ」を確認しておくと災害発生時にたいへん有効です。

防災マップ確認先

救出・救護活動について

日本火災学会の調査によると、阪神・淡路大震災により生き埋めや建物に閉じ込められた人のうち、生存して救出された約95%は、家族や隣人によるものであったとの結果が出ていることから、自主防災活動の重要性が分かります。下記をご確認いただき、万一に備えておいてください。

救出活動

  • 建物の倒壊や崖崩れなどで人が下敷きになったときは、資材や器材を有効に活用して、すぐに救出活動を実施する。
  • 状況に応じて、できるだけ周囲の人の協力を求めて二次災害の防止に努める。
  • 下敷きになっている人が見つからない場合は、ある程度作業が進んだところで声を掛けるなどして、返事やうめき声が聞こえないか確認する。
  • 取り除いた障害物は、もう一度崩れないようロープなどで固定し、安全を確保する。
  • スコップを使う場合、下敷きになった人の付近まで作業が進んだら、手で掘るなどの手作業に切り替える。

救護活動

  • 負傷者は、すみやかに応急救護所や医療機関などの安全に救護できる場所に搬送する。
  • 応急手当は、負傷者をよく観察し、その症状に適した手当を実施する。
  • 応急手当は、正しい手当でなければかえって容体を悪化させるおそれがあるので、日ごろから訓練を受けておく。

普通救命講習

普通救命講習は、応急手当の基礎知識と実技などを学ぶもので京都市市民防災センターで受講することができます。申し込みは、市内の消防署、消防分署の警防課救急係までお問い合わせください。